あの日の花火を忘れない

〈 台本について〉
男女サシ劇の声劇台本です
夏のお話ですが1年中楽しんでいただけたら嬉しいです
著作権は放棄しておりません。
自作発言、盗作はおやめください。
性別の改変は無しでお願いします。
STORYの大筋が変わらなければ
アドリブ・アレンジはしていただいて構いません

夜空に咲いては儚く散ってしまう
そんな花火の様なお話です
イメージソング
『打ち上げ花火』
by daoko×米津玄師

出逢ったその瞬間
いつか終わりが来るって分かっていたのに
恋をせずにはいられなかった·····

[uploadedimage:99448]
※お披露目の際に使用したCas画です。
レイフロ様に作成いただきました。
<人物紹介>
凛空斗(リクト):レイに出逢って恋をせずにはいられなかった青年。
玲衣(レイ):リクトの事が世界一大好きな女性。

↓↓↓
上演の際、お使いください。
【あの日の花火を忘れない…】
凛空斗(リクト):
玲衣(レイ):
……………………………………………………………………………
【STORY】

SE:縁日の音(可能であれば)
<シーン> 縁日にて

■リクトの少し前を歩きはしゃいでいるレイ
■そんなレイの後ろを心配そうについていくリクト

レイ
「あー!金魚すくいだー!あっちにはわたあめにー、ん?この匂いは…焼きそば?」

リクト
「おーい
そんなにはしゃぎ過ぎるとはぐれるぞー?」

レイ
「だってーひさしぶりに来れて嬉しいんだもん」

リクト
「あーこういう縁日とか花火大会とか?」  

レイ
「うん。最後に来たのは…高校生の頃とかだったかなー…ほんと懐かしいー」

リクト
「そっか」

レイ
「ねえ?」

リクト
「ん?」

レイ
「はぐれても絶対俺がみつけるから大丈夫。とか言ってくれないの?」

リクト
「んー。それは無理だな。お前ドラマの見すぎ」

レイ
「えー」

リクト
「えーじゃない」 

レイ
「むー」

リクト
「でもそのかわり…ほら、戻ってきて?」
レイ
「ん?なーに?」

リクト
「はい」

レイ
「ん?」 

リクト
「何首かしげてんの?
俺がこうやって手の平をおまえに出してんだからさ
彼女のおまえがする事は1つだろ?」

レイ
「えっと…こう?」

■レイは首をかしげながらリクトの手の平に手をちょこんと乗せる

リクト
「えっ?待て待て
なんで俺の手のひらにちょこんて、手乗せてんの?
それじゃ犬とかがするお手だろ?
いや、これはこれでめちゃめちゃかわいいんだけど·····」 

レイ
「違うの?んー」

リクト
「ふふっ。ほーら、俺の指におまえの指絡めて?」

レイ
「ん?こう?」

リクト
「そう。で、こうやって手ぇ繋いどけば·····
 ほら?これでもうはぐれないだろ?」

レイ
「えへへ。嬉しい。ありがとう」

リクト
「あっ…ちょっと急に抱きつくなって」

レイ
「リクトも嬉しいの?顔、ニヤけてるよ?」  

リクト
「え?おれがニヤけてる?いや別に·····
外では手を繋ぐのずっと嫌がってたおまえが俺と手を繋いでくれて嬉しいなーとか
俺、全然思ってないから」

レイ
「ほんとにー?」 

リクト
「ちょ
そんな急に顔近づけんなって·····」

レイ
「ほんとは嬉しいんでしょ?ねぇ?ねえ?」

リクト
「あっ!ほら
向こうにおまえが食べたがってたりんごあめ売ってるぞ?」

レイ
「あー、ごまかしたー」

リクト
「はっ?ごまかしてないって。どうすんの?食べないの?
りんごあめ食べたいんでしょ?」

レイ
「うん…」

リクト
「素直でよろしい。ほら…行こう?」

~間~

■りんごあめを買って嬉しそうに歩くレイ

リクト
「食べたがってたりんごあめ、買えて良かったな?」

レイ
「……」

リクト
「ん?どうした?」

レイ
「あのさ…私、なんか変?」

リクト
「なんで?」

レイ
「さっきからずっと周りの人にジロジロ見られてる気がする…」 

リクト
「あーそれは·····
(耳元で)
おまえがかわい過ぎるからだよ」

レイ
「ちょっと…リクトー///」 

リクト
「あーあ。おまえの顔、りんごあめより真っ赤」

レイ
「だって、耳元で不意打ちで囁かれるのは…さすがに照れるよ…」

リクト
「照れろ照れろ
さっき俺をドキドキさせたお返しだ」

レイ
「あっれは…別に…」

リクト
(頭を軽く押さえて)
「うっ·····」

レイ
「えっ?リクト大丈夫?」

リクト
「ん?
あー。ちょっと立ちくらみがしただけ」
レイ
「それなら良いけど…」

リクト
(彼女に聞こえないぐらいの声で)
「そっか·····
もう俺に残された時間は…あと、わずかなんだな」

レイ
「ん?ねえ?やっぱり痛いの?」

リクト
「ん?ほんとに大丈夫だって。ほんとにレイは心配性だなー」

レイ
「だって………」

リクト
「そんな心配そうな顔すんなよ、ほんとに大丈夫だって」

レイ
「リクト、行こ?」

リクト
「は?どうした?おい?どこ行くんだよ?俺は本当に大丈夫だって…」

レイ
「いいから、私に着いてきて?」

リクト
「あっ、ちょっと·····レイ!待てって!おい!ったく…」

■リクトをおいて走り出すレイ。必死に追いかけるリクト
■ビルの階段を登る

SE:階段を登る音

リクト
(少し息を切らして)
「なあレイ?階段登ってどこまで行くんだよ?」

レイ
「ん?もう少しで着くよ…」

リクト
「もう少しって…結構な段数登ってんだけど?なんでエレベーター無いんだよ…」

レイ
「あと少しだって。はい、着いた」

リクト
「はー。やっと着いた。ん?ここは·····
 ビルの屋上に·····ベンチ?」

レイ
「そっ。ここなら少し休めるし、花火もね?ばっちり見えるんだよ?」

リクト
「へーすごい
特等席じゃん、ここ。おまえよくこんなとこ知ってたな」

レイ
「えへへ。あたしね、いつか彼氏と花火を一緒に見るのが夢だったんだー。今日はそれが叶うから…すごく嬉しい」

リクト
「そうなの?俺も、お前の夢、一緒に叶えられて嬉しいよ」

レイ
「ねえ?もうすぐかなー?」

リクト
「そうだな。悪りぃ…俺、少しそこのベンチにいるな?」

レイ
「うん。リクトに休んでもらう為にここに来たんだから…
 あっ!私はせっかくだから、手すりの側で見るね」

リクト
「ああ!おっ!時間だ。そろそろ花火あがるぞ」

SE:花火の音

レイ
「うわぁーすごーい!ほんっときれーい!ねえ!凄いね!」

リクト
「ああ!綺麗だな!」

レイ
「うわぁー」

■夢中で花火を見ているレイを後ろから花火と一緒に撮るリクト
SE:スマホのシャッター音

リクト
「大きくため息」


■しばらく花火に夢中なレイ。少ししてリクトの元に戻ってくる

SE:小さめに花火の音を流し続けてください

レイ
「リクトー。花火見てるー?」

リクト
「うん。見てる。ほんと、めちゃめちゃキレイだな」

レイ
「えへへ。ここでリクトとこうやって花火見れて、今すっごく幸せ」

リクト
「あー、俺も。
今日、レイとここに来られて、ほんとに良かった」

レイ
「ねえ?写真撮ろ?花火と一緒に」

リクト
「えっ?写真?それは…
んー…えっとー…」

レイ
「私と写真撮るの…嫌?」

リクト
「あっ、いや
別におまえと撮るのが嫌なんじゃなくて·····」

レイ
「今日、夢が叶った記念にって思っただけなんだけどなー…」

リクト
「あーもう!その顔は反則!はい!じゃあ、撮るよ?」 

レイ
「ほんと?やった」

リクト
「ほら、もっと俺のそばに来て?ほっぺたくっつけて?」

レイ
「えっ?きゃっ…」

■レイの身体を引き寄せるリクト

リクト
「ふふっ。ほんとかわいい。はいチーズ」

SE:スマホのシャッター音

レイ
「もう!私絶対顔真っ赤になってるよー。ねえ?ちゃんと撮れてる?」

リクト
「ん?あー…」

レイ
「確かめさせて!」 

リクト
「って、うわっ!ちょっと…おい!スマホ返せ!」

■スマホをリクトから奪って画面を見るレイ


レイ
「写り悪かったら撮り直さないと…」

リクト
「あっ!
ちょっと人のスマホ勝手に見るなって」


■スマホの画面を覗き込んでいるレイ


レイ
「………」

リクト
「………」

レイ
「そっか…やっぱり私、映らないんだね…」

レイ
「え?」

レイ
「わかってたけど…やっぱりショックなもんだなー」

リクト
「おまえ…もしかして気づいてたの?いつ…から?」

レイ
「最初…からだよ?リクトと…出逢った時から」 

リクト
「そっか…そんな前から·····」

レイ
「うん…」 

リクト
「おまえ優しいから、俺がさびしがると思って
ずっと気づいてないフリしてくれてたんだな」

レイ
「………」

リクト
「そうだよ?おまえは幽霊なの」

■彼女にスマホの画面を見せる

リクト
「ほら、見て?
さっきおまえが楽しそうに花火見てるとこ撮ったんだけどさ
画面におまえは写ってない。
なぜか俺はおまえに触れることはできるけど
正真正銘、幽霊なんだ…おまえは·····」

レイ
「………」

リクト
「なあ?
さっき俺、立ちくらみしたろ?
どうやら人間と幽霊が長期間一緒にいると、人間の方のエネルギーが減っていくらしい
本当はこのままずっとおまえとここで生きていたかったけど
もう俺には、時間が無いみたいだ」

レイ
「うん…」

リクト
「なあ?俺はおまえが好きだ
1ヶ月前
初めて会った時から
おまえの笑顔に励まされて…
ずっと癒されてきた

おまえと過ごす日々が毎日楽しくて幸せで
生まれて初めて…
誰かを強く守りたいと思った

生まれて初めて
毎日をこんなにも大切に感じた

生まれて初めて
誰かを愛しいと思った

(優しく語りかけるように)
だから
俺は
おまえが幽霊だろうと構わない
ずっと一緒にいよう?
おまえは寂しがりで泣き虫で怖がりだから
1人であっちに行くのは嫌だろ?
俺と一緒に行こう?
なっ?」

レイ
「リクト…」


■リクトに抱きつくレイ 



リクト
「ん?
どした?急に抱きついてきて」

レイ
「ありがとう」

リクト
「うん。
俺の方こそありがとう」

レイ
「嬉しいよ?すっごく嬉しい…でも…」

リクト
「ん?なんで離れて…」

レイ
「もう、じゅうぶんだよ…リクト」

リクト
「レイ…」

レイ
「リクトの気持ちはとっても嬉しいよ?
でも、ごめん。
私はあなたと一緒には行けない…」

リクト
「どうして?」

レイ
「あなたはまだここで生きてる!これからも描いていける未来がある。
もう死んでしまった私とは…違う」

リクト
「そんな事関係無い!
俺も一緒に連れてってくれよ!なあ?レイ!」

レイ
(被せて)
「私にあなたは殺せないし…
もしあなたが自ら命を経ったら
私は、あなたの事嫌いになる…」

リクト
「レイ…」

レイ
「リクトの部屋のノートにね?私が生きてるうちにやりたかった100個のこと書いてきた。
リクトと出逢って、そのうちの10個はもうすでに叶ったの。
私はもう…これ以上は叶える事は出来ない…
だから…」

リクト
「だから?」

レイ
「だから…
残りを私の代わりに叶えて?で、ちゃんと生き抜いて?

それで…
いつか…
いつかこっちに来るタイミングになって
その時もまだ私の事を好きでいてくれたら…
その時はまた
たくさんたくさん…私を愛してね?」

リクト
(少し間をあけて )
「なあ
それが·····
それがおまえの答えなのか?」

レイ
「うん…もう、決めたの!」

リクト
「俺がいないと寂しいだろ?」

レイ
「そんな事無いもん…」

リクト
「意地っ張り…」

レイ
「意地なんてはってない!」

リクト
「本当は、一人で行くのめちゃめちゃ怖いくせに…」

レイ
「怖くないもん…」

リクト
「俺、別の人と恋に落ちるかもよ?」

レイ
「いじわる…」

リクト
「本当に、それで良いの?それでお前は後悔しないの?」

レイ
「ほんとは嫌。でも…それでも…それでもリクトには、生きてて欲しい」

リクト
(自分に言い聞かせるように)
「うん。わかった…わかったよ。
そんなに泣きそうなのに、必死に涙こらえて笑顔で言うとか
ほんとおまえって·····」

レイ
「………」

リクト
「わかった!
おまえの代わりに俺、おまえの夢全部叶えるよ! 約束する」

レイ
「うん!ありがとう。絶対、約束だよ?ねえ?リクト?」

リクト
「ん?なんだ?」

レイ
「私ね?生きてて、正直しんどい事ばっかりだったけどね?
あなたの彼女でいられたこの1ヶ月は、最高に幸せだった
あなたと出逢えたから
私、心から生まれて来て良かったって本当にそう思えた…」

リクト
「……」

レイ
「こんな私を愛してくれて…本当にありがとう」

リクト
「なあ
こんなってなんだよ?
おまえは、すっげぇ寂しがりで泣き虫で怖がりだけど…
繊細で、人の気持ちのわかるとっても優しいやつで…
いっつも俺の事考えてくれてさ
おまえのその笑顔に俺
俺の方こそ…何度も何度も励まされてきた
俺の方が、お前に救われてきた
お前がいなくなったら寂しくて…一人になるのが怖いのは俺の方だ…だから…気づいてても言えなかった…
言ったら、お前がいなくなっちまいそうで…」

レイ
「リクト…」

リクト
「おまえはすっごいやつなの!
ほんの一瞬、ほんの一言で俺を幸せに出来ちゃうの!
俺こんな優しい人、今まで会ったことないよ?俺が心から愛した、俺の自慢の彼女なの
だからこんな私、なんて…さみしいこと言うなよ·····
なっ?」

レイ
「うん…うん…ありがとう」

リクト
「どういたしまして。ほら、おいで?」
 

■リクト、レイを抱きしめる。だが何度抱きしめても彼女のぬくもりを感じることが出来ない


リクト
(涙をこらえながら)
「そっか、キセキの時間はもう、終わりか·····」

レイ
「ん?」

リクト
「ごめん。もうおまえを抱きしめても
俺にはおまえを感じる事は出来ないみたいだ…
こんなに、側にいるのに…せめて最後ぐらい抱きしめて見送ってやりたかったのに…」

レイ
「私にはあなたのぬくもりがちゃんと伝わってるよ?だから、大丈夫だよ?」

リクト
「そっか·····
(少し間をあけて)
なら
俺はずっとこうやっておまえを抱きしめてるよ」

(少し間をあけて )
■泣きだすレイ

リクト
「えっ?ねえ、おまえ何?泣いてんの?」

レイ
「だって…私今、世界一幸せものだなって…」

リクト
「あーもう!おまえってさ?ほんとどこまでかわいいの? 」

レイ
「えっ?」

リクト
「そんな涙目で首かしげるとかほんとズルい。はぁー。このまま時間が永遠に止まんねぇかなー」

レイ
「リクトかわいい…」

リクト
「はっ?かわいいのはレイだって…」

レイ
「えー。リクトだよー…」


■二人笑いあう

リクト
(ためいき)
「花火終わっちまったな…お前の姿…透けてきた…もう、いっちまうんだな…」 

レイ
「あれ?リクト泣いてるの?」

リクト
「は?泣いてねーし」

レイ
「ほんとにー?」

リクト
「泣いてない!ああもう!そんなジロジロ俺の顔見るなよ…
照れるだろ?」

■嬉しそうに笑うレイ

レイ
「リクト?」

リクト
「ん?」

レイ
「私、リクトの事も、リクトと過ごした時間も、一緒に見たこの花火も、全部全部ちゃんと覚えてるから!絶対に、忘れないから!」

リクト
「ああ。俺も、絶対忘れない!おまえと過ごしたこの日々は、全部、一つ残らず俺の宝物だ」

レイ
「うん」

リクト
「今度会う時にはさ、もっともっとカッコよくなっておまえを今以上にたくさんドキドキさせてやるからさ、楽しみにしてろよ?」

レイ
「うん…リクト、私と出逢ってくれてありがとう…」

リクト
「俺の方こそ…
俺と出逢ってくれて、俺の彼女になってくれてありがとう
レイ?また·····な」

■彼女が腕の中から消えて

リクト
(少し涙声で)
(ため息)
「いった、か·····
俺、最後はちゃんと笑えてたかな?

(空に打ち上がる花火をながめながら)
キレイだな·····
ほんと花火って、儚くて、残酷なぐらいキレイだよな。なあ?レイ?お前もそう思うだろ?なっ?」

リクト(モノローグ)
きっとこれから俺は
空に打ち上がる花火を見る度に
何度も何度もこの日を思い出すんだろう·····
寂しがりで泣き虫で、怖がりで
でも、誰よりも心の温かく優しくかわいい
たった1ヶ月だけの俺の恋人
このキセキの1ヶ月を
君とみたこの花火を
俺は一生忘れない…

リクト
「約束したもんな?ちゃんと俺、お前がいなくても生きていくから…だから…だから…」

■泣き崩れるリクト
※どれぐらい泣くかは演者様にお任せします

リクト
「さようなら·····俺の、世界で一番愛しい人
いつかまた会える…その日まで…」
END[uploadedimage:91905]

シナリオの海

七海あおの声劇台本のサイトです

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