彼岸花の相棒


※ご使用前は『利用規約』を必ずお読みください
こちらの台本は片摩廣様の企画
#ONLY ONEシナリオ2022
の9月台本です

 
【登場人物】
七重 大和(ななえ やまと) …思い込んだら止まらない真っ直ぐな性格。ぶっきらぼうで口は悪いが根は優しい

足苅 健翔(あしかり たける)…コツコツ努力の出来る天才。基本は真面目だが実は結構熱い
 
【台本説明⠀】
<>=場所
■ト書き(状況説明等)
※場所とト書きはセリフではなく、演者様への状況説明の為に書いているので劇中は読まなくて大丈夫です。

M=モノローグ
登場人物の心の声ですが、劇中では読んでください
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「彼岸花の相棒」七海あお作
Cast
七重 大和…
足苅 健翔…
-------------------------------
↓ここから台本です

〈放課後︰教室〉
⬛︎健翔、机の上に広げたノートに向かって必死に何か書いている

⬛︎そこに教室に入ってくる大和。健翔の姿を見つけ、声をかける

大和
「おーい!足苅ー!」

健翔
「……」

大和
「お前何やってんだそれ…」

健翔
「……」

大和
(舌打ち)
「無視かよ…!?」


⬛︎健翔のノートを奪い取る大和


健翔
「えっ?ちょっといきなり何すんだよ…返してよ」

大和
「呼んだのに人の事無視するからだろ?」

健翔
「……」

大和
「ずっと聞きたかったんだけどよ…
お前授業中毎日毎日何ちまちまやってる訳?俺後ろの席だから見えねぇけど
なんか動いてんのはわかるからスッゲェ気になってたんだよ」

健翔
「別に。僕の事は気にしないでいいから、それよりちゃんと授業受けなよ…」

大和
「その反応…もしかして、実はすっげぇエッチな事だったりして…」

健翔
(被せて)
「…七重君には関係無いでしょ!ちょっと!早く返してよ!
返してってば!」

大和
「あーその反応はますます怪しいな…
    どれどれ…んー…ん?
    なんだこれ…全然エッチじゃねぇじゃん。それに、イラストが大量に並んでる…」

健翔
「……」


⬛︎ノート1冊分のマンガを物凄い勢いで読んでいく


大和
「なんだこれ!やべぇな…
なんか…なんかわかんねぇけどすっげえ…
ああ!もう!なんでもいいいからとりあえず早く続き読ませろ!
読ませてくれ!足苅頼む!」

健翔
「え…頼むって…」

大和
「おう!俺は今すぐにこの話の続きが読みてぇんだ!
持ってんなら勿体ぶらずにとっとと出せ!」

健翔
「え?…あー…えっとー…続き…は、まだ無いよ」

大和
「まだ?じゃあ、いつ手に入るんだ?」

健翔
(言おうか迷っている)
「……」

大和
「なあ?いつだよ!早く言えよ!
あっ、もしかしてまだ結構先だったりすんのか?
マジかぁ…
俺、そんなに待てっかなぁ…」

健翔
「…あ、あのさっ!」

大和
「あ?」

健翔
「…続きは無いんだけど
もし良かったら、その前の話だったらあるけど…読む…?」

大和
(被せて)
「読む!読ませろ!」

健翔
「!?
 …これ、なんだけど」

大和
「うわっすっげえ量のノート…これ全部読んでいいのか?」

健翔
「うん…もし良かったらだけど」

大和
(遮って)
「良いに決まってんだろ!サンキュ!」


⬛︎嬉しそうに齧り付いて物凄い早さで読んでいく大和。
その様子を呆然と見守る健翔

⬛︎読み終わってノートを閉じる大和


大和
「やっべぇ…
なんなんだよこの、なんかこう線とか吹き出しとかいっぱいあって、物語がこうぶわ〜ってすんげぇスピードで駆け抜けてく…」

健翔
「…
   あの…もしかして七重君、マンガ読んだ事無いの?」

大和
「マン…ガ…
これ、マンガって言うのか!?
すげぇ…
やべぇなマンガって!!!!」

健翔
(ひとり言)
「…高校生にもなってマンガ知らない人なんてこの世にいるんだ…」

大和
「はぁ…
やべぇな…
これに色付いて動いたらマジで鳥肌もんなんだろうなぁ…」

健翔
「あのさ…」

大和
「ん?なんだ?」

健翔
「それ…本当にそんなに面白い?」

大和
「ああ…最高に面白い!!!!
すっげえ面白かった!
もし続きが出たら絶対読みたいから教えてくれよ!
もし発売日わかったら俺買うから…」

健翔
「買えないよ」

大和
「え?あぁ…まだ発売日が発表になってないのか、なら分かったら…」

健翔
「ううん。売ってないし買えないんだ。
でも、もし続きが出来たら…その時はまた…読んでくれたら、すごく嬉しい」

大和
「え?売ってない…
ん?続きが出来たらってどういう意味だ?」

健翔
「実はそのマンガ…僕が書いたんだ」

大和
「そうかお前が。
えっ?えーーーーー!!!!
これを????」

健翔
「うん!イラストはもちろん、ストーリーも全部0から考えた僕の…オリジナルのマンガなんだ!
だから…まだ発売はしない…
そりゃ、もちろん本当に発売して
あわよくばアニメとかになったら夢みたいだけどさ…」

大和
「本当に…お前が…」

健翔
「うん…あのさ…
こんなこと、誰にも言った事無いけど
俺、このマンガをいつかアニメにするのが夢なんだ!!!」



~間~
 


大和
「(爆笑)」


健翔M
そうだよ、わかってた
だから今まで誰にも言えなかった
笑われるかもしれないと怖かった
叶うわけないと馬鹿にされ否定されるのが怖かった
誰にも言わないつもりだったのに…
あまりにも褒められて嬉しくてつい調子に乗って言ってしまった
あんなに楽しそうに読んでくれたこいつなら、わかってくれる気がして
やっぱり慣れない事なんてするもんじゃないな



⬛︎まだ笑い続けている大和とそれを不機嫌そうに見ている健翔


大和
「あー久しぶりにこんなに笑ったわ!
腹痛てぇ!(笑)」

健翔
「もう気が済んだ?いい加減そのノート返してくれない?
僕は帰る…」

大和
「何、怒って…
あ、もしかして笑った事か?
それならあの…悪かった!
仲間にもよく言われるんだよなぁ…
いきなり笑いだしたら馬鹿にされてるみたいで不愉快だって…
俺さ…ワクワクすると思わず笑っちまう癖があるみたいで」

健翔
「なんだよそれ」

大和
「お前さ、控えめに言って最高!
こんな最高な奴、俺ひさしぶりに会ったわ!
なぁ!その夢、俺も一緒に見させてくれないか?この通りだ!頼む!」

健翔
「えっ?ちょっと待ってよ…さすがに土下座は…お願いだから頭あげて」

大和
「いいや!お前がうんと言うまで俺はこの頭は意地でも上げねぇ!
お前のマンガに痺れた!惚れた!
頼む!お前の夢!
俺にも一緒に見させてくれ!!!!」

健翔
「ちょっと…
わ、わかった!わかったから!」

大和
「ほんとだな?
男に二言は無いな?」

健翔
「うん」

大和
「サンキュ!
じゃ、今日からお前の夢は俺の夢だ!一緒に叶えよう!
なんかさ2人なら叶えられる気がしねぇか?
明日からよろしくな!
改めて、俺は七重大和(ななえやまと)。
大和って呼んでくれ!
えっと…
悪りい…お前下の名前なんていうんだ?」

健翔
「僕は足苅 健翔(あしかり たける)」

大和
「俺たちの名前繋げたらヤマトタケルか…
すげえカッコイイじゃん!
健翔、今日からよろしくな!」


~間~


【2人、20代:健翔の家】
■高校時代を思い出しながらキッチンで料理をしている大和を見つめる健翔

健翔
「いやーそれにしてもお前、ずいぶん丸くなったよなぁ」

大和
「はっ?何言ってんだよ。俺が目の前で筋トレしてんの何度も見てんだろ?
体脂肪率1桁だぞ俺はっ!」

健翔
「見た目じゃなくて性格と雰囲気だよ!
初めて出会った時は髪は金髪でヤマアラシみたいにつんつんで
なんなら不良グループのリーダーやってたろ?」

大和
「ああ…
あん時はなんつーか…
色んなもんにムカついてエネルギーを持て余してたんだよな。
唯一尊敬出来る人がいたのがいわゆる不良グループにいて
そしたらこう、気づいたらなんか頼られていつの間にかリーダーに…」

健翔
「お人好しで面倒見の良い大和らしいよな。それが今や世界でも注目されるベンチャー企業にお勤めの社会人かぁ…」

大和
「今の会社、結構自由にやらせてくれるし何より給料めっちゃ良いんだよ!
俺はお前みたいに絵が描ける訳でもストーリーを生み出せる訳でもねぇからな
出来る事っていったらせいぜいお前がマンガ描ける環境とか道具を提供する為の資金を、お前より多く出すぐらいしか出来ねぇから…」

健翔
「しかって…何言ってんだよ!
むしろそれが1番ありがたいよ!
ほんとにありがとう!
ここにある機材とか道具とかも
僕だけじゃ買えない高価な物ばかりだったし、
本当に助かってる!
それに…こうやって定期的にうちに来ては飯も作ってくれるし」

大和
「お前夢中になると睡眠も食事も平気で放棄するからな。夢を叶えるにはまずは体を大事にしろよ」

健翔
「きっと大和は将来良いお嫁さんになれるよ」

大和
「俺は男だっつうの!」

健翔
「(笑)
残念だなぁ。僕が女なら放っておかないのになぁ。
なんで彼女作らないの?
優しいし、料理上手いし、絶対モテるだろ大和」

大和
「彼女ねぇ…興味ねぇなぁ…」

健翔
「またそういう事言う…」

大和
「くだらねぇ事言ってると飯冷めるぞ」

健翔
「あのさ…
大和が彼女作らないのってもしかして僕のせいなんじゃない?」

大和
「あ?なんだよそれ」

健翔
「僕の夢を叶える為に時間もお金も使ってるからそれで…」

大和
「そんなんじゃねぇよ。
  ただ単純に俺がモテねぇだけ!
ほら、くだらねぇ事考えてる暇があったら飯食ってさっさと手ぇ動かせ!
時間は止まっちゃくれねぇぞ」

健翔
「う、うん…」

大和
「……」

健翔
「あのさ…」

大和
「今度はなんだ?」
 
健翔
「本当に僕の夢…いつか叶うと思う?」

大和
「叶うかじゃなくて叶えるんだろ?
   俺は信じてる!健翔の夢は絶対叶う!
1人じゃ無理な事も俺達2人ならきっと叶えられる!」

健翔
「そうだよね。うん。ありがとう!
ほんと不思議だよなぁ…
大和にそう言われると本当に出来る気がするんだよなぁ…
すっげぇ勇気もらえるんだいつも。
僕、大和の声すげぇ好き」

大和
「そ、そうか?
ありがとな!
ん?あっ…
あーーーーーー!」

健翔
「な、何?急に」

大和
「俺!お前の夢を一緒に叶える最高な方法、見つけたかも!」

健翔
「えっ!?」

大和
「楽しみにしてろよ!ぜってぇ叶えてやるから!」


~数年後、2人~
〈健翔の部屋〉

健翔
「大和の地上波デビューに乾杯ー!」

大和
「サンキュ。って言ってもまだ村人Aのモブだけどな…」

健翔
「でもちゃんとセリフもあるし、名前のテロップもあったし
何より…あの!国民的大人気作品に参加したんだろ?充分凄いよ!!!!」

大和
「そうか?
まあ…な…
ようやくスタートラインに立てたって感じかなぁ…」

健翔
「それにしてもまさか大和が声優とはな~。
声優になりたいなんて全く聞いた事無かったけど…
なあ?いつからなろうと思ってたの?」

大和
「2年前」

健翔
「へっ?」

大和
「2年前、急に思いついたんだ。
お前が俺の言葉に勇気を貰えたって言ってくれた時に、もしかして声優になったら
お前が夢を叶えた時に、その作品に命を吹き込めるんじゃないかって!」

健翔
「!?
本当にそれが理由?
なんか憧れの声優さんがいるとか…
実は昔からの夢だったぁとかそういうんじゃなくて?」

大和
「ああ。むしろそれが全てだけど? 
オーディション勝ち抜いて
ぜってぇお前のアニメの主役を勝ち取ってみせるからな!」

健翔
「気が早いって!
まだアニメどころかデビューもしてないのに…
ったくお前って…ほんと最高…」


■健翔、泣きながら笑ってしまう


大和
「えっ?ちょっと健翔。なんで泣きながら笑ってんだよ情緒不安定か!」

健翔
「ごめんごめん。
最近スランプだったからさ
なんか嬉しくて思わず…」

大和
「スランプ?
へー。お前みたいな天才でもスランプってあるのか」

健翔
「あの…さ
1回ちゃんと聞きたいと思ってたんだけど
大和って僕をなんだと思ってんの?」

大和
「何って…
俺の親友で
絶対夢を叶える男で
そんで…俺の最推しの天才漫画家兼クリエイターだ!」

健翔
「いや、そんな真顔で目を見ながら言われると流石に照れるんだけど…」
  
大和
「事実だから仕方ないだろ
俺は何1つ嘘は言ってないぞ?
お前の夢は俺の夢!
俺はお前の夢を一緒に叶えたくて声優になったんだ。
俺が叶えるって決めてんだから絶対叶うんだ!
だから健翔は安心して好きなマンガを全力で描いててくれ」

健翔
(笑)
「ほんと大和と話すと悩んでる自分がアホに思えてくるよ。
あーあ
先越されちまったなぁ
よーし!やるぞー!」

大和
「そうだ!
健翔、お前は凄い!俺達の夢は絶対叶う!
むしろ叶わないわけが無ぇ!
前祝いしようぜ?
もう1回乾杯だー!!!!!」

健翔
「うん!乾杯ーーーー!!!!」


⬛︎隣の部屋から壁ドンされる


健翔
「!?
ごめん…ここ壁薄いから大きい声聞こえるんだった」

大和
「マジか…悪りぃ…」


⬛︎2人、顔を見合わせて小さく笑う
 

~数年後~
〈健翔の家〉

健翔M
最近テレビや雑誌であいつの顔を見ない日は無い
最後にあいつがここに来た日からもういくつかの季節が過ぎた

僕はというと…

相変わらず仕事をしながら
仕事以外は全てマンガを描く時間に費やしていた
大手の出版社に持ち込んだり
何度も応募はしたがデビューどころか小さな賞にさえかすりもしなかった
世の中の幸せそうに見える奴らが恨めしかった
僕はなんで夢など見てしまったのだろう
夢さえ見なければこんな苦しい思いしなかったかもしれないのに…


■テレビのCMが流れてくる


大和
(アニメのCMのナレーション)
「夢は諦め無ければ叶う!
そう!信じなければ何も始まらないんだ!
金曜19:00スタート 未来を信じて
諦めなかった者の上だけに
きっといつか降り注ぐ、それを人は奇跡って呼ぶんだ」

健翔
(苦笑)
「何が夢は諦めなければ叶うだよ…
信じなければ始まらないだよ
信じて走り続けたって
 現実なんて…所詮こんなもんじゃないか
なあ?教えてくれよ?
僕の夢はいつ叶うんだよ!
一体いつ…
いつになったら僕の夢は…
僕の夢、本当に叶う日なんて来るのか…
もういい加減疲れた…
助けてくれよ
なあ!なあ!」


■泣き崩れる健翔


〈大和の家〉

大和M
決して順調だった訳じゃない
演技が下手だとバカにされて思わず手が出そうになって血が出るまで拳を握りしめた事もあった
練習の声がデカ過ぎて部屋を追い出された事もあった
それでも俺はひたすら走り続けた
絶対にあいつの夢を一緒に叶えたかったから


転機は突然訪れた
ある有名な作品の作者が俺の声を気にいってくれたのだ
それをきっかけにここ数年、突然色んな仕事が増えていった
そして気づけば声優だけで生活していけるまでになっていた
健翔の所にはしばらく行けていない
夢中になると寝食を放棄するあいつが心配だったが
気持ちとは裏腹にスケジュールはあっという間に埋まってしまって1日の休みも無かった
毎日が秒で過ぎていって寝落ちる日々が続いていた
気づけば、30歳が目前に迫っていた
 

〈大和の車の中〉

大和
「あんの鬼畜ジャーマネ!
たった3日ってどういうつもりだよ!
俺は、この5年、ほぼ休み無しで働いただろうが!
ふざけんなぁ~!!!!!」

大和M
ようやく数年ぶりに勝ち取った休みはたった3日
車の中で盛大に愚痴ってはみたものの
俺の口角はさっきからずっとあがりっぱなしだ
ようやくあいつに会える
どうしても今日会いたかった
なぜなら今日は…


SE:扉を開ける音


〈健翔の家〉

大和
「健翔ー!
いるかぁー?
鍵空いてたからいるはずなんだけどなぁ
まさかまだ寝てんのか?
健翔ー?おーいいないのかァー?
!?」
  

■無精髭を生やし髪はボサボサでビールの缶を飲んで酔っ払って座っている健翔


健翔
「おお~。これはこれは有名声優の大和様じゃないですかぁ~。
こんな壁の薄いボロアパートにいらっしゃるなんて~
一体どういう風の吹き回しですかぁ~?
タワマン生活に飽きて~庶民の生活でも見学されにいらしたんですかァ~?」

大和
「!?
酒臭っ…
お前、もしかして昼間から飲んでんのか?」

健翔
「昼間から酒ぐらい飲むでしょう~。
で?一体何の御用ですか~?」

大和
「お前その気持ち悪い敬語やめろって
あと、人と話してる時に合間に酒飲むのはどうかと思うぞ?」

健翔
(舌打ち)
「人が気持ちよく酒飲んでんのに…
あー!一気に酔い冷めたわ…久しぶりに会って速攻説教かよ。ほんと偉くなったよなお前」

大和
「なんだよそれ…
何年かぶりの再会で八つ当たりっていくらなんでもお前らしくないぞ
こっちはせっかく楽しい時間を過ごそうと思って時間作って来てやったのに
なぁ、健翔…一体何があったんだよ?
なんかあるなら話聞くぞ」

健翔
「時間、作って来てやった?
へぇー。
僕、時間をわざわざ作ってきて貰ったんだぁ。
じゃあ感謝しないとなぁ…どうもありがとうございましたっ!」

大和
「おい
今のは確かに俺の言い方も良く無かったけど…
なぁ?だとしてもさすがにその態度はないだろ。ちゃんと俺と会話しろよ」

健翔
「会話ならずっとしてるけど?
ふーん
ブランド物のスーツ着て片手にシャンパンとプレゼント…

もしかしてさぁ
わざわざ僕に格の差でも見せつけたかったの?
俺はこれだけ売れてる声優だ、お前なんかと一緒にするなって」

大和
「なんだよそれ…
そんな事俺思ってないし、一言も言ってないだろ…」

健翔
(被せて)
「この後だってどうせデートなんだろ?
ただの良いお友達です。なんて嘘ついちゃってさ」

大和
「週刊誌の記事の事言ってんのか?
あいつは本当にただの友達で…
あの写真だって、周りにたくさん人がいたのに、たまたま2人になったタイミングでふらついてた所を支えたらあんな風に撮られたんだよ」

健翔
「僕にまで嘘つかなくて良いよ。
別に誰にもばらさないし、ああ。そもそも一庶民の僕が何かを言った所で誰も信じないかぁ」

大和
「一庶民ってなんだよ…
だから本当に違うって!
なあ、そんな事よりマンガは?
どこにあるんだ?
久しぶりだし早く続き読ませてくれよ
俺すっげぇ楽しみにしてたんだよ!」

健翔
「無いよ。
お前が最後にここに来た日から1度も描いてない」

大和
「はっ?何冗談言って」

健翔
「冗談なんかじゃないよ。
僕、もうマンガ書くのやめた。
もう飽きたんだ。
夢もとっくに諦めたから。
だからもうこれからは大和のしたいようにすれば良いよ
ここにももう来ないで」

大和
「え?お前何勝手な事
自分で何言ってるか分かってんのか?」

健翔
「もうすぐ30にもなるのにさ
叶いもしないガキの頃の夢にいつまでもしがみついてさ…
才能もないくせに
絶対叶えるんだって青春マンガみたいに毎日頑張っちゃって?
寝食削って捧げて来てさ…
ほんとバカみたいだよなぁ
叶わない夢なんてこの世にそれこそ溢れかえってるのに
なんで自分の夢だけは叶うなんて信じちゃってたんだろ
ほんとアホらし…」

大和
「何言ってんだよ!夢は諦めなきゃ叶うんだよ!俺だって!」

健翔
「ああ。お前は叶えたよな?ほんと凄いよ
ご立派だよ!!!!
友達の夢を一緒に叶える為に声優になりたいですなんて、青春ドラマかよってツッコミたくなる様なバカみたいな動機で目指したのほんとに叶えちゃってさ!
今や超売れっ子声優で?
タワマン住んで女侍らせて高級ブランドスーツまで着ておまけに彼女持ち
ほんと神様に愛されたやつは
何の努力もしないで運だけで何でも手に入っちゃって得だよなぁ」

大和
「さっきから聞いてりゃなんなんだよ、いちいち癇に障る言い方しやがって。
人の話し全然聞かねぇし違うって言ってんのになんも信じねぇし…
おまけに夢を諦めるとか叶うわけねぇとか、俺が神様に愛されて得とか
訳わかんねぇ事並べて
グダグダグダグダ…
なぁ、お前さっきから俺にケンカ売ってんのか?」

健翔
「別に〜。そんなつもりなんて全く無いけど、買いたいなら勝手に買えば~?
勝負なんて最初っから目に見えてるけどねぇ~
もちろん僕の負けですよ~
白旗あげて勝負もせずに降参しますよ~。
 はい、降参」
  

■煽る健翔にとうとうブチ切れて健翔の襟を掴む大和


大和
「てんめぇ…
一体何がしたいんだよ!!!!
俺がどんな思いで今日ここに来たかお前わかってんのかよ!」


■大和の襟を掴み返す健翔


健翔
「わからないし興味も無いよ!
自分1人散々良い思いして来た癖に
ましてや何年もここに来なかった癖にさ
今更俺たちの夢なんて…
偽善者ぶんのも良い加減にしてよ!!!!」 

大和
「はっ?ふざけんな!
俺がどれだけ今日を楽しみにしてたか…
しんどくても頑張って来れたのはお前と一緒に夢を叶えたかったからじゃねぇか!
俺が有名になりたかったのは
お前の夢に近づく為じゃねぇか!
そんな事もわかんねぇのかよ!!!!」

健翔
「そっちこそ!
僕がここでたった1人どんな思いで毎日過ごしてたかなんてな…
簡単に夢叶えて有名になっちまったお前にはな、どうせ一生わかんないんだよ!!!!!」

大和
「わかりたくもねぇよ!
そんな卑屈になって簡単に夢諦めちまうお前の気持ちなんてな!
離れてても俺とお前は同じ気持ちだってずっと信じてた俺は…
とんだ大馬鹿者だったな!!!!」

健翔
「ああそうだよ! 
今さら気づいたの?ほんとバカだねぇ
僕は初めから天才なんかじゃないのに勝手に盛り上がってなぁんにも真実が見えなくなってたんだね~。本当にご愁傷さまでした!!!!!」


■睨み合う2人


健翔 
(ため息)
「…ねぇ、もういい加減早く帰ってくれる?
僕、さっさとお酒飲みたいんだけど
あともうここにも来ないで
その勝ち誇った顔大嫌い
大和の顔なんて…もう二度と見たくない」

大和
「!?
健翔。お前…変わっちまったんだな」

健翔
「僕は何も変わってなんていない、
最初からこうだよ。
ただ、お前がずっと気づかなかった。
それだけだ」


■大和、持っていた箱とシャンパンをテーブルに置く


大和
「これ、持ち帰んの面倒だからここ置いてくわ。要らなかったら捨ててくれ。
本当はここで一緒にって思ってたけど…
今のお前には何を言っても届かねぇみたいだから…
正直お前にはガッカリだわ…
じゃあな!」


■大和、扉を乱暴に閉めて出ていく

■しばらく呆然としたあと、テーブルに置いてある箱の中を見る健翔


健翔
「これ…ケーキ
昔僕がここの好きだって言ったの覚えてたんだ…
当日にケーキとシャンパン持って…恋人かよっ…
あいつ貴重な休みをわざわざ僕の為に…
賞とか取って引くて数多の有名声優が男二人でバースデーケーキ食うとかさマジ、有り得ないだろ…

大和、またカッコよくなってたなぁ
オーラすごかった…
なのに中身全然変わってなくて、未だに僕の夢が叶うなんて本気で信じちゃってさ…


できる事ならあいつと夢、叶えたかったなぁ…
お酒もほとんど飲まないしタバコも吸わないのに…肝臓癌。だってさぁ…
マジでドラマかよ!ほんと笑える」


■テーブルに置かれたグラスワインを開け
瓶を持ち上げ一気に飲む

■途中でむせて吐き出し、激しく咳き込む。それでもまた飲んで再度咳き込む


健翔
「こんな姿…
こんなみっともない姿さ、あいつに見せられる訳ないだろ…
ジュースで酔ったフリ出来るとか
僕、実は演技の才能あったんだなぁ…
なーんて」
 

■泣きながら爆笑したあと激しく咳き込む
 

健翔
「ほんとポンコツ過ぎ…
思いっきり笑うことも出来ないのかよ…
さすが名医だなぁ…僕の肝臓はもう移植しないと治らないは…本当だったか…

大和…
たくさん酷いこと言ってごめんな
お前、なんだかんだ優しいからこうでもしないと僕の事、見捨ててくれないだろ
なあ
癌だって知って
自暴自棄になってた時期もあったよ
けど…
お前の言葉があったから
僕は今日まで生きることを諦めなかったんだ。本当にありがとうな…
僕が居なくてもお前なら大丈夫だ
どうか幸せになって…

たくさん嘘ついてごめんな…
僕は最後の瞬間まで、1人で夢を追いかけるよ
きっと、これがラストチャンスだ…
絶対最後の瞬間まで、僕、諦めないから!」
 

⬛︎扉越しに全てを聞いていた大和



大和
「………」



⬛︎離れて停めてあった自分の車へ向かい、乗り込む



SE:車の扉を閉める音


〈大和の車の中〉

大和
「馬鹿野郎…
なんだよそれ…
お前みたいな素人の演技で俺が騙せると思ったのかよ…
肝臓癌て…
嘘だろ…
ふざけんな…ふざけんな!ふざけんな!ふざけんな!ふざけんな!!!!!!
なんだよ…
あいつは、健翔はずっと頑張って来ただろ
嘘ついたって分かってるよ
机にすんげぇ数の原稿山積みだったの隠せてねぇんだよ馬鹿…
俺達の夢なんて言って俺…
肝心な時にあいつになんにもしてやれねぇじゃねぇか…
お前が居なくなったら俺これからどうやって生きて…
畜生!畜生ーーーーーー!!!!」



⬛︎感情を爆発させ叫びまくる大和



SE:電話の着信音

大和
(激しく苛立って)
「ったく…なんだよ!こんな時に誰だ!
ん?え?音…哉?」
 

⬛︎珍しい相手からの電話に息と気持ちを整え電話に出る
 


大和
「ああ。もしもし
音哉。お前から電話かけてくんなんて久しぶりだな
ああ、そっか今日までだっけ
悪りぃ、読んだけどまだ返事してなかった。
結婚おめでとう。お前いつの間にそんな事になってんだよ。
えっ?あー俺?まあ、かなり忙しいけど…
お前の結婚式なら休み取って絶対行くから!ああ、約束する!
はっ?そんな喜ぶ事か?お前、かわいいな…
え?奥さんが俺のファンだからサプライズ?
マジか…あぁ…それは素直に嬉しいな
あー。ところでさ…
その代わりっちゃぁなんだけど…
俺の頼み、1つ聞いてくんねぇ?
頼む!一生のお願いだ!」
 
~数日後~
〈健翔の部屋〉

健翔
「なんとか完成して応募も間に合ったし…結果は2週間後かぁ…
これが正真正銘本当のラストチャンス…
まあその結果を僕が直接聞くことは難しいかもしれないけど…
はぁ…
ほんとに色んな事があったなぁ
あいつに会ってなかったら僕とっくに諦めてたかもしれないし全く違う人生だったかもしれないなぁ…
照れくさいけど…最後くらい素直に気持ち伝えても…良いよね…
これ読んでホントの事知ったらあいつ怒るかなぁ…
怒るだろうなぁ…
ごめんな、素直じゃなくて…
よし!
えっと…
今お前がこれを読んでいるという事は僕はもうこの世に…
って…さすがにベタ過ぎるか?これ
マンガ家目指してたくせに語彙力無さすぎるだろ僕… 」


SE:インターホンの音



健翔
「ん?はーい
あれ?音哉先生
こんな所までどうされたんですか?
えっ、今からって…あの言ってる意味がちょっと…あの…」
  

~数時間前~
〈山奥のロケ地にて〉


⬛︎クランクアップする大和。みんなに挨拶する


大和
「おつかれ様でした!
初めて俳優という形でこうやってお仕事スタさせていただきましたが、いやー同じ演技でも正直声優とは全然違いました…
みなさんにたくさん助けていただきなんとか最後まで演じ切る事が出来ました。この作品に出演させていただき本当に光栄でした。ありがとうございました!
それではまた後ほど。打ちあげ、楽しみにしてます!」


〈待機のテント内〉

大和
「いやー無事に終わって良かったぁ
ほんと良い経験させてもらったなぁ…


ん?子犬?野良か?一体どこから来たんだ? お前可愛い目してるなぁ
なんか何となくあいつに似てるかも…
え?ちょっと…おい!待て!」
 


⬛︎帽子を咥えて走り出した子犬を慌てて追いかける大和



大和
(息を切らして)
「お前…ふざけんなよそれ早く返せ!
ったく…
それは健翔からもらった命の次に大切な…
って……」


SE:スマホのシャッター音(連続)
 

大和M
そこには大量の彼岸花が広がっていた
白い彼岸花に夕日が重なり
この世の物とは思えない程に綺麗だった
語彙力が無いことは自覚しているが
例えそれを差し引いたとしても
この美しさを現す言葉がこの世に存在するとは到底思えなかった
俺はスマホを取り出し、無我夢中で写真を撮り続けた


大和
「すげぇ…
健翔見たら絶対喜ぶぞ~

あっ…
俺達まだ喧嘩したままだ…
しようがねぇ
とりあえず保存しとくか…」



⬛︎目の前の犬が何回か吼えてまた帽子を咥えて走って行く


大和
「え?おい!だからそれ俺の帽子だって言ってんだろ!!こら!待て!返せ!
この馬鹿犬~!」


■犬、ロケ地で止まる

■大和、追いつく


大和
「お前、どんだけ俺の事走らせたら気が済むんだよ!
帽子は返して貰うから、なっ!
ったく…
ああ、よだれすげぇけど、破けてなくて良かったぁ…」


◾︎一気に土砂降りになる
  

大和
「ん?え!?
さぶっ!
なんで急にこんな土砂降り…
山の天気は変わりやすいって言ってもさすがに急過ぎんだろ…
ん?
なんだ?あのトラックなんか変な動きして…



!?
みんな避けろー!!!!!!!」



■山道でスリップして落ちてきたトラックの下敷きになる大和を含めた共演者達



SE:救急車のサイレンの音



~数日後~
〈病室〉
■健翔、ベッドの上で目覚める


健翔
「…ここ…は
あ…先生…
え?手術は成功?
あの…ここにいる方達は…
どうもはじめまして
足苅です…
大和の事務所の社長さん…?
あ、名刺ですか…ご丁寧にどうも…
頂戴します…
え?それは…僕に…ですか?」


健翔M
スーツ姿の女性から封筒を渡された
開けてみると見慣れた一生懸命な文字が飛び込んできた
たくさんの想いで数枚の便箋が埋めつくされていた


健翔
「いつの間にこんなの用意してたんだよ
あいつ、文字書くの嫌いって言ってたのに…

え?
音哉先生今、なんて…
…大和が…事故…
そう…ですか…

そっか…あいつはもうこの世にはいないんですね…
そっか…
そう…なんだ…


大和…
なんでだよ…
死ぬのは僕のはずだったのになんで先にそっち行ってんだよ…
お前いなくなったら僕1人でこれからどうしたら良いんだよ…
僕1人でどうやって夢、叶えられるんだよ…
2人で叶えるんじゃなかったのかよ!
なぁ!
なんで…
なんでだよ…大和…
大和…」



~数日後~
〈大和が撮影をしていた山奥〉

健翔
「ふう…
本当に山道だなぁ
ロケ地はここって言ってたからたぶんここら辺のはずなんだけど…」

健翔M
退院直後
自分に送られてきたある画像を、音哉先生が僕に見せてくれた
送られてきた日付は事故のあった当日
写真には僕の名前が書いてあった
もしかして大和が最後に何かを伝えようとしたんじゃないか
僕は気になってこの場所に来た


健翔
「こんなたくさんの彼岸花なんて全く無いけどなぁ…
一体どこにあるんだ?
…ん?子犬?あの犬どこかで見たことがある様な…」


◾︎犬の顔を覗き込む


健翔
「あっ!
お前…写真に映ってた犬にそっくりだな
もしかして何か知ってるのか…?
え?あっ…おい!ちょっと…」


健翔M
その犬は走り出した
僕は何故か夢中で追いかけていた
見えない何かに突き動かされて足が勝手に走り出していた
そんな感覚だった


健翔
(息を切らしながら)
「お前、なんで急に走り出して…
 おお
確かに彼岸花がたくさんあるけど…
写真の色とはなんか違う様な…
あいつが加工なんかするとは思えないんだけどなぁ…
えっ…」


健翔M
その時だった…
夕日が差し込み彼岸花が一気に色付いた
写真と同じ色だ
言葉に出来ない程のその光景に僕は涙が止まらなくなった

健翔
「もしかして大和はこれを僕に見せたかったのか?
そういえば美味そうなもんとか綺麗な景色とか見つけるといつも何のメッセージも無く送ってくれたっけ…
後で聞くと照れくさそうにお前に見せたくてって…
彼女かよ!ってよくからかってたなぁ…

ん?…あー待って待って…
なんだ?非通知?
もしもし?
えっ?はい
足苅健翔(あしかり たける)は僕ですけど…
えっ…
はい!本当に?本当ですか!?
はい!ありがとうございます!
ありがとうございます!
失礼します!


…えっ?嘘…なんで…」


 
健翔M
電話を切り
彼岸花に視線を戻すとたくさんの花の真ん中にあいつが…大和が立っていた


大和
「健翔!
ここ、見つけてくれてありがとな!
これをお前に見せたかったんだ
なあ?すっげぇ綺麗だろ」

健翔
「ああ…ああ… 本当に綺麗だ」 

大和
「大賞受賞おめでとう!
やったな…健翔
お前なら絶対やるって俺、信じてたぜ!」

健翔
「うん…うん…
ありがとう…
手紙…読んだよ
大和が全部知ってて何かあったらドナーになれる様に音哉先生にお願いしてたなんて…僕、全く知らなかった…」

大和
「!?
そっか…
手紙読んだのか…
そっか…
やっぱり俺あの時死んだのか…
本当はお前の傍でずっと夢叶えるつもりだったのなぁ…
ああ!ちくしょう!悔しいなぁ…」

健翔
「大和…」

大和
「まっ、でもしょうがねぇな。
これが俺の運命ってやつだったんだろうな。
お前が病気と闘いながら必死に夢叶えようとしてんのに…
俺が出来る事なんて…これぐらいしか思いつか無かったからさ…」

健翔
「大和…僕…大嫌いなんて
顔も見たくないなんて言ってごめん!
本当は…
本当は…
大好きだ!
お前は親友で!尊敬する声優で
俺の世界でたった1人の相棒だ!
お前に会えて本当に良かったと思ってる
こんな事になってごめん…
本当に…ごめん…」

大和
「あのなー
俺はお前の相棒だぞ?
そんなん言われなくても全部分かってるっうの!
それに仲直りしなかったのは俺も悪かったしな… 

ほら!今日は最高に嬉しい日だろ?
どうせ泣くなら
嬉し泣きしようぜ?なっ?」

健翔
「うん!
僕、どんなに心折れてもさ、大和がいたから
ここまでずっと諦めないで居られたんだ!
なのに…これから僕1人でどうしたら…」

大和
「何言ってんだよ!
お前は1人じゃねぇだろ?
家族や友達や職場の仲間もいる…」

健翔
「でも!」

大和
「お前は自分が思ってるよりずっと強いんだよ!
病気になっても
たった1人あの部屋で漫画を描き続けてたんだからな」

健翔
「それは大和がいたから!
大和の声を毎日テレビで聴いてたから…」

大和
「だとしても
夢を諦めない事を、描き続ける事を選んだのはお前だろ?」

健翔
「でも!でも…大和…」

大和
「なんつう顔してんだよ…」

健翔
「だって…」

大和
「なあ?健翔!
お前からは見えなくなっちまったかもしれねぇけど…
お前の中には、俺が!いるだろうが!」

健翔
「!?
大和…
うん!そう。だね…
そうだよね!」

大和
「だろ?」

健翔
「うん!
なぁ、これからもずっと一緒に夢、叶え続けてくれるか?」

大和
「当たり前だろ!俺達の夢はここから始まるんだ!
俺はずっとお前の事見てるからな…
俺の一部をやったんだ
夢叶えなかったら承知しねぇかんな!」

健翔
「うん!わかってる!絶対叶えるよ!
本当にありがとう…大和」

大和
「おう!またな健翔…」

健翔M
僕は思い切り泣いた
そして思い切り笑った
そうだ!いつか僕達の物語を描こう
そして夢を叶えた時にこう言うんだ
僕は決して1人では無かった
だから夢を叶える事が出来たんです
目には見えなくてもずっとそばで支えて見守ってくれて
いっぱい励ましてもらいました
そう!僕は1人じゃ無かったんです!
会えなくてもいつだって最高の相棒が"ここ"にいたからって…
なぁ、大和…
僕の相棒はこれからもこの先もずっと…お前だけだよ
END

~あとがき~
白い彼岸花の花言葉
「また会える日を楽しみに」
「思うはあなた一人」

シナリオの海

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