約束の打ち上げ花火
男女サシ劇台本です
画像はお披露目の際にCas画として
縁コウキ様が作成してくださいました。
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【あらすじ】
久しぶりに帰った地元。
友達グループで夏祭りに一緒に行くはずが、友達はみんな来られなくなったと連絡があり、急遽2人でまわる事に。
一緒にまわる事になった夏祭り
記憶喪失の彼女は忘れてしまっているが
実は遠い日にした2人だけの約束があって
【人物紹介】
コウキ(男)ユウリの彼氏。記憶喪失のユウリとはなにやら過去に何かあったらしく…
ユウリ(女)
記憶喪失。コウキの彼女
※上演の際にご使用ください
『約束の打ち上げ花火』
コウキ♂:
ユウリ♀︎︰
······································································
【STORY】
↓↓↓
ここから本編です
■神社の鳥居前、彼女を待っているコウキ
■浴衣姿のユウリが走って近づいてくるのを見つけ、慌ててかけ寄る
ユウリ
「ごめん!お待たせ!」
コウキ
「あー、走らなくて大丈夫だよ?転んじゃうと大変だから」
ユウリ
「ほんっと遅れてごめん。浴衣って走りづらくって…」
コウキ
「ふふっ。
走りづらいって。
浴衣ってそもそも走るためのものじゃないからな?
浴衣で走ろうとするなんて、お前くらいだよきっと」
ユウリ
「ゆかたなんて着るのほんっとひさしぶり…どう、かな?」
コウキ
「……」
ユウリ
「コウキ?」
コウキ
「……」
ユウリ
「コウキ!」
コウキ
「あっ!ごめん。呼んだ?」
ユウリ
(悲しげに)
「もう!そんなに変…だったかな?」
コウキ
「え?」
ユウリ
「だって、なんにも言ってくれないから…」
コウキ
「あー、いや、馬子にも衣装ってさー、こういう事言うんだなーって」
ユウリ
「んっ!」
■怒って彼の肩を叩く
コウキ
「痛った!
そうやってすぐ、俺を叩くなって笑
嘘だよ!めちゃめちゃ似合っててかわいい
(耳元で )
今すぐここで食べちゃいたいくらい…」
ユウリ
「えっ…」
コウキ
(笑)
「へーお前でもそんな反応するんだ。真っ赤になっちゃってかわいい」
ユウリ
「もう!からかわないでよっ///」
コウキ
(笑)
「本当の事言っただけなんだけどなー。あっ、そうだ。みんなから来たメッセージ見た?」
ユウリ
「うん。びっくりした」
コウキ
「なー。仕事にライブに…風邪?はお大事にって感じだけど…
ほんと揃いも揃って…なんでよりにもよってみんな今日なんだよ
みんなに久しぶりに会えるの…楽しみにしてたのになー」
ユウリ
「そうだね。私もコウキのお友達にも会ってみたかったし、会えなくなったのは残念だけどさ…仕方無いもんね?」
コウキ
「そう、だな…まあ2人だけだけどせっかく来たし、楽しむかー」
ユウリ
「うん」
コウキ(モノローグ)
俺はユウリが帰ると言わなくて心の底からほっとしていた…
そう。もちろん偶然ではない
全ては俺が、友人達に頼んで仕組んだ事だった
ユウリと今日、この花火大会で二人きりになる為に…
ユウリ
「……」
■ユウリが周りをキョロキョロしている
コウキ
「どうした?なんかあった?」
ユウリ
「私、ここに来た事、ある気がする…」
コウキ
「えっ?そうなの?なんだろう?旅行で来た事がある…とか?」
ユウリ
「ううん。上手く言えないんだけど…そういう感じとは違う気がするんだよなー」
コウキ
「んー。あれかな…もしかして、デジャヴっていうやつかな?」
ユウリ
「デジャヴ?」
コウキ
「ほら、行った事ないのになんか来た事ある気がする…みたいなさ 」
ユウリ
「んー。そうなのかなー」
コウキ
「それにしても、お前が俺の地元行きたいって言うなんて、正直びっくりしたよ」
ユウリ
「あー。たまたまね、テレビで特集やってて…ここの花火がさ、めちゃめちゃ綺麗だったんだー。それで、実際に見たいなって思っちゃって…まさか…コウキの地元だったとは思わなかったけど」
コウキ
「ここの花火さーめちゃめちゃキレイなんだ。いつかお前と見たいって思ってたから嬉しい
あー、こうやって外でデートらしいデートするの久しぶりだなー」
ユウリ
「ねー。最近は行くとしてもどっちかの家だったもんね?」
コウキ
「だな?よし、じゃあ、行くか」
ユウリ
「うん」
SE:縁日の音
コウキ
(夢中になって)
「わたあめにお面に…あっ、金魚すくいにやきそば、りんごあめもある。懐かしいなー。
子供の頃さ、友達とよくこの花火大会来たんだー
(いつの間にか横にいた彼女がいないことに気づいて)
って…えっ?あれ?ユウリ?どこ行った?まじか?まさかはぐれた?
嘘だろ…早く探さないと…」
■ユウリ、迷子の子どもの親を見つけて子どもを引き渡す
ユウリ
「あー。いえいえ。頭あげてください。私、全然大した事してないですって…
この子が泣きながら私の浴衣掴んでたのでどうしてもほうっておけなくて……はい。本当に。無事に会えて良かったです。
じゃあね?もうパパとママの手、離さないんだよ?ん?小指?うん!約束!
じゃあねー。ん?約束?…」
■必死に探し回るコウキ
コウキ
「あーもう!なんで俺あいつとさっさと手繋いでおかなかったんだろ!あいつも、俺に黙っていったいどこ行っちまったんだよ…ったく…」
■親子を見送り、初めてコウキがいない事に気づくユウリ
ユウリ
「えっ?あれ?コウキ?嘘…はぐれた?私、あの子のパパとママみつけるのに夢中で…
早く戻らないと、きっと心配してる…」
■男数人に声をかけられるユウリ
ユウリ
「え?いや、私、人を探してて…あーいえ…一人で大丈夫です。いや、そっちに用は無いので…」
コウキ(モノローグ)
マジであいつどこに行ったんだよ!
あーもう!こんな人混みでどうやってみつけろっていうんだ
!
ユウリ
「あの…本当に大丈夫ですから…お願いですから、そこ、退いてください…」
■ナンパされている彼女を見つけて
コウキ
「んっ?この声…いた!
はっ?なんだあいつら?うわっ、マジか」
コウキ
(あわてて駆け寄る様に)
「ユウリ!」
ユウリ
「コウキ!」
コウキ
「あっ、俺の彼女に何か用??
(にらみながら脅すように)
もしこいつに手を出す気なら…俺、手加減しないよ?」
■ナンパ集団ひるんで逃げていく
コウキ
(彼女に少し怒って)
「なんで勝手に行っちゃうんだよ!
お前はかわいいから一人でいたらあーいうやつらに狙われるの!」
ユウリ
「ごめん…」
コウキ
「って、怒鳴ってごめん。怖かったよな?俺もすぐ気づかなくてごめん。こっからはもうはぐれないように…ほら」
ユウリ
「えっ?いいの?コウキ人前で手ぇつなぐのとか苦手でしょ?」
コウキ
「確かに苦手だけど…またさっきみたいな事あったらその方が嫌だから·····」
ユウリ
「……」
コウキ
「ほら!さっさとつなぐ」
ユウリ
「!?」
コウキ
「うん!これでよし!」
ユウリ
「あのさ…手をつなぐならこっちのつなぎ方にしたいな?」
■恋人繋ぎに変える
コウキ
「えっ?」
ユウリ
「恋人繋ぎ…ダメ?」
コウキ
「え?あー。ううん。嫌じゃないよ。むしろすっげー嬉しい。
じゃあ、今日はこのまま回ろっか?」
ユウリ
「うん!私も小さい頃に夏祭りとか花火大会行ったりしたのかなー」
コウキ
「そうだなー。きっとお前も色々行ったんじゃないか?」
ユウリ
「そうだよねー。あーあ。なんで私なんにも覚えて無いんだろ…なんで…全部忘れちゃったんだろ…」
コウキ
「そう焦んなくても、いつか記憶は戻るさ
きっと戻るべきタイミングで戻ってくる…
戻らない時はさ、そん時考えよう
それに、今からいっぱい、過去に負けないぐらい楽しい思い出一緒に作って行こう?
な?」
ユウリ
「コウキ…うん。ありがとう。んー…」
■ユウリ、また周りをキョロキョロしている
コウキ
「ん?どうした?」
ユウリ
「やっぱり、どこか懐かしい気がするの…」
コウキ
「んー。
まあ田舎なんてみんなこんなもんじゃないのか?」
ユウリ
「そうかなー。あっ!あの…さ」
コウキ
「ん?」
ユウリ
「コウキ、浴衣似合ってるね」
コウキ
「本当?」
ユウリ
「うん。浴衣似合う。なんかいつもより色っぽくて…ちょっとドキドキする」
コウキ
「ふーん。ドキドキしてくれてたんだ」
ユウリ
「うん」
コウキ
「なあ?ちょっと良いか?」
ユウリ
「えっ?なに?」
コウキ
「良いから、来て?」
ユウリ
「えっ?ちょっと…ん?ここって…神社?」
コウキ
「ほら、タオル置いたから、ここに座って?」
ユウリ
「えっ?なんで?」
コウキ
「いいから座る。で、下駄…脱いで?」
ユウリ
「えっ?」
コウキ
「脱がないなら俺が脱がせる」
ユウリ
「えっ?ちょっと、コウキ…」
コウキ
(ためいき)
「やっぱり、あー。血が出てる」
ユウリ
「なんで…」
コウキ
「気づくよ!バレないように隠してたけど、途中から足、引きずってた
歩くスピードゆるめてはみたけど
だいぶつらそうだったから、ここに連れてきた」
ユウリ
「ごめん…」
コウキ
「謝る事じゃないだろ?あー、これはだいぶ痛かったなー」
ユウリ
「……」
コウキ
(巾着から救急セットを取り出す)
「絶対足痛くなるからサンダルにしろって俺言ったけど、お前はきっと下駄履いてくると思ったからなー。救急セット持ってきといて良かった」
ユウリ
(少し笑いながら)
「コウキ、女子力高いね」
コウキ
「そんな笑うなよ…
ほら、足出して、ちょっと、いやだいぶ染みるぞ?」
■ユウリ、痛さに顔をゆがめる
コウキ
「あー、痛いな痛いな
フーフー
少し乾かして·····
で、薬塗ったガーゼをテープでとめてと·····
よし、これでちょっとはマシかな?」
ユウリ
「さすが…」
コウキ
「まあ、これが俺の仕事みたいなもんだからな?」
ユウリ
「ありがとう」
コウキ
「ん。どういたしまして」
あっ、ちょうど、あとちょっとで花火始まる
ここからの花火がさ、最高にキレイなんだ
人も居ないしこの神社、ちょっとした穴場なんだ」
ユウリ
「へー。そうなんだー」
コウキ
「なあ、テレビで花火の特集してた時ってさ、
ここの花火のジンスクの話ってしてたか?」
ユウリ
「ジンクス?なにそれ?」
コウキ
「そっかー。
ん?まあいつの間にか人づてに広がったんだけど、まあ都市伝説みたいなもんだし
いや、知らないなら良いや。
ごめん、今の忘れて」
ユウリ
「えー。気になる…」
コウキ
「いいから!ほら、花火あがるぞ?
SE:花火大会の音
(花火が何発か打ち上がるイメージ)
ユウリ
「うわー、キレイ」
コウキ
「なあ?やっぱり花火って良いよなー
俺好きだなー
花火ってさ、職人さんがめちゃめちゃ時間も手間もかけて一つ一つ心込めて作って
打ち上がるまでどうなってるかわからないドキドキの中打ち上げてさ
たった一瞬しか輝ける瞬間がないのにそこに魂込めて作ってる
そういう一瞬の美に全てを込める情熱とか、なのにパッと咲いたと思ったら一瞬で散ってく儚さとかさ
なんか、良いよなー」
■ユウリ頭を抱えて痛そうにしている
コウキ
「えっ?どうした?大丈夫?頭痛いの?救急車呼ぶ?」
ユウリ
(記憶を思い出し、泣きながら)
「この花火を見て一緒に願いを込めて、その願いがもしも一緒だったら、その願いは叶う。
だから、いつか絶対一緒に見ようねって言ったのに、私、ずっと忘れてて…」
コウキ
「え?
それって?
もしかして、全部、思い出したの?」
ユウリ
「うん。ずっと忘れてて、約束も守れなくてごめんね?」
コウキ
「ううん。
色々聞いた。お前こそ家族大変だったって、色々、ほんとによく頑張ったな」
ユウリ
「ううん。だから私、ここに来た事があるって思ったんだ…」
コウキ
「そう。高校の途中まで俺たちずっとここで暮らしてた
お前が転校していなくなって、しばらくして俺は仕事で上京したんだ
あっちでお前の事見つけた時、俺、本当に嬉しくてさ·····
でもお前は俺の事覚えてなくて·····
そのうちお前が、過去の記憶を無くしたって事を聞かされて
正直驚いた…」
ユウリ
「……」
コウキ
「俺、お前に好きって言ってもらったのに、ちゃんと返事出来ないままお前がいなくなったのがずっと心残りで·····
だから、忘れてるなら
記憶が戻らなくても、もう一度俺の事好きになってもらえたらって思ったんだ
俺は久しぶりに会って、やっぱりお前が好きだって思ったから」
ユウリ
「コウキ…ごめんね…ごめん…」
コウキ
「こら。泣くなって。お前が俺を覚えてなかったのは正直さびしかったけどさ
でも、お前の記憶が戻らなくても俺がお前を好きな事に変わりはなかったし
お前は俺の彼女になってくれた
俺は正直それで、満足だったんだけどな
まさかお前の記憶が今戻るなんて·····
すごいな、花火の奇跡かな?」
ユウリ
「私が好きなのは…ずっとコウキだけだよ?」
コウキ
「そっか…ありがとう」
SE:花火の音
コウキ
「なあ、俺はさ
もしお前の記憶が戻らなかったとしても、気持ちは変わらなかった
本当はさ、お前と見に行けなかったあの花火の日に、お前に返事をしようと思ってたんだ
ずいぶん遅くなっちゃったけど…」
ユウリ
「えっ?」
コウキ
(彼女に指輪の箱を開いて見せる)
「俺が好きなのは、そしてこの先もずっと一緒に居たいって思えるのは、俺は一生お前だけだと思う
さっき花火に願ったんだ
お前と一生一緒にいたいって
愛してます
俺と、結婚してくれませんか??」
ユウリ
「私も…同じ事思ってた…」
コウキ
「え?まじで?めちゃめちゃ嬉しい
ねぇ、はめても良い??」
ユウリ
「うん」
コウキ
(彼女に指輪をはめて)
「はい。
これでお前は一生、俺だけのものだね」
ユウリ
「うん」
コウキ
「……」
ユウリ
「……」
コウキ
「あっ、今きっと同じ事思ったよな俺達?」
ユウリ
「うん。きっと」
コウキ
「来年も一緒に…」
ユウリ
「この花火、見に来ようね?」
コウキ
「ああ。約束…な?」
END
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